金田淳子( kaneda_bl )のブログ

金田淳子が日々思ったことや、ハマっている作品、ハマっていない作品について書くブログです。

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乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その1

その1 「刃牙」を9冊読んで頭がおかしくなった女の戦い

 ここ数週間、ちょっと油断すると「刃牙」(※注1)のことを考えている。誰が一番強いかとか、どの技が面白いとか、そういうことはまぁどうでもよくて、男同士のエロい場面を想像している。さらに、刃牙たち(B)のラブ(L)がどのように育まれていったかという経緯(ねつ造)を、つぶさに空想する。こういったことを、少なく見積もっても一日20時間ぐらい考えている。
 こういうとき頼れるのがBL友(男同士のラブ&セックル創作を解する友)のはずだが、周囲の友は「刃牙」を読んでおらず、私が「刃牙」エロ話をしようと身を乗り出すと、巧妙に話題を変えてくる。

 いや、聞けよ。「刃牙」、読めよッッ……!!

 とはいえ、こんな私(金田淳子)も、数か月前まで「刃牙」シリーズを読んだことが無かった。以前はお前のような冒険者だったが、膝に「刃牙」を受けてしまって、ここまで重傷なのだ。

 そのうえ現時点で、9冊分しか読んでいない。お前そんな末堂厚(※注2)レベルの戦闘力で、何が1日20時間だと、思わず正中線連撃(※注3)を放った師範代もいると思う。だが、待ってほしい。9冊分+Wikipediaでちょっと調べただけで、脳内から、炭酸抜きコーラとか、おじやとか(※注4)、いろんな濃い汁がこみあげて止まらないのだ。

 もともと私は、男同士がガチンコで、あとチ●コで、激しく殺し合うような話(殺し愛)が好きだ。それなのに、いかにもガチンコそうな「刃牙」をなぜ読まなかったかというと、インターネットで頻繁に貼られる面白キャラクター画像とかを見て、恥ずかしながら「なんか筋肉の描き方と、顔の皺が気持ち悪い」と思っていたからだ。『北斗の拳』とか『ジョジョの奇妙な冒険』とかを喜んで読んでるくせに、どの口で今更そういうことを言うのか。完全に、食わず嫌いの甘僧(甘い小僧)だった。

 さらに言えば、試し読みをしようにも、読む順番が分からなかった。外伝を除けば、『グラップラー刃牙』→『バキ』→『範馬刃牙』→『刃牙道』という順番なのだが、果たしてこれは初見で分かるものだろうか。全部、同じ人間の名前じゃねえか。50巻以上続いているシリーズで、こんなにも、各部の書かれた順番が分かりづらいタイトルも珍しいのではないか。シリーズ作品の順番のわかりづらさと、男体の肌色の多さで言えば、BLジャンルと良い勝負だ。ウェブコミックサイトだと、「××の続編ですよ」という情報を一切示さず、突然、途中の部から連載を始めたりするのも恐ろしい。

 そんなこんなで、何十年も刃牙に触れてこなかった私が、なぜ急に9冊も読んだのか。さきほどは流れるように悪態をついてしまったが、あるウェブコミックサイトで、『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』のそれぞれ冒頭1~3巻を、無料開放していたのである。これが無かったら、一生、縁がなかったかもしれない。もちろん盛大に順番を間違えて読んだ私だが、「こういう感じのマンガか……」ということを実際に体験すると同時に、インターネットにあふれているネタ画像では知ることができなかった、重大な気づきがあった。

 というのも、主人公の範馬刃牙(はんま・バキ。初登場時17歳)が、何かにつけて、男を誘惑するのだ。
 そしてどんどん美形になる。もう明らかに一人だけ、顔の作画監督が違う。表紙とか扉絵では、グラビアアイドル感すら出してくる。あっこういう子、ちょっとBLマンガに居そうだよね、と普通に思わされる。どの男と結ばれるの?と普通にドキドキしてくる。
 刃牙ほどではないが、ほかのメンズも、男を誘惑するし、男を執拗につけ狙う。強い男ほど、男とのアレ(1対1でやるアレ)が好きすぎる。いまどきBLマンガでも、こんなに男が男のことばかり考えたりはしない(仕事のことや生活のことも考える)。

 このあたりで、「金田さんの頭がおかしくなって見た幻ですよ」「開くファイル間違えて、BLマンガ読んでますよ」と指摘される流れだが、別に頭がおかしくなってはいない。むしろ、「刃牙」を読んだうえでそれを言っているのなら、おかしいのはお前だ。
  
 無料開放部分を読んでからというもの、そんなことを一日24時間考え、そうこうしているうちに季節が色を変え、夏が終わり……「刃牙」に対する思いだけが募った。

 そういうわけで、先ほど「刃牙」シリーズ全巻、ポチった。9冊読んだだけで、脳内から白濁した熱々のおじやがあふれてくる状態だったのに、その物量、130冊以上。おじや換算で特大タッパー約15杯分だ。中年には、ちょっとした致死量ではないのか。

 だが、ここまで切々と述べてきたように、私はもう「刃牙」なしではいられない身体だ。刃牙が……独歩が、薫が、勇次郎が、どの男とどんな風に結ばれるのか、あるいは結ばれないのか。それを考えないで生きていくことは、もはやできないのだ。「刃牙」を知らなかった、あの頃には戻れない。飲むしかないのだ、特大タッパー15杯分のおじやを。
 
 これは、一人のBL格闘家(グラップラー)と、「刃牙」との真剣勝負、殺し愛の記録だ。

 

※注
(1) 刃牙 ……板垣恵介による、範馬刃牙(はんま・バキ)を主人公とする長編マンガ、またその関連作品の総称を、この連載では「」をつけて「刃牙」と記す。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で1991年から2018年まで連載されて第四部まで完結。現在、新章を準備中らしい(2018年9月5日時点)。本編は順に『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』。この順番は、テストに出るので覚えよう。
(2) 末堂厚 ……すえどう・あつし。『グラップラー刃牙』1巻第1話に登場し、最初に範馬刃牙と戦うことになる男。空手道団体「神心会」所属。フルコンタクト系空手でアマチュア最強を誇る選手だったが、圧倒的なかませぶりを披露した。
(3) 正中線連撃 ……空手道団体「神心会」の若き師範代である、愚地克巳(おろち・かつみ)の持ち技。飛び上がりながら、相手身体の正中線上の急所を撃つ。
(4) 炭酸抜きコーラ、おじや ……『グラップラー刃牙』1巻第1話で、範馬刃牙が試合前に食べていたもの。この他にバナナ、梅干しも食べている。これを見た「神心会」のコーチが、「消化がよく栄養バランスもいい」と絶賛している。

(その1おわり) (その2につづく)

 

<その2以降は基本的に【後半100円】でnoteで連載しています。>

その2 範馬刃牙の生い立ちがジルベールすぎる(note)【後半100円】

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<この記事はnoteで2018日9月5日に書かれました。以下に当該ページへのリンクを貼ります>

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