こんにちは。昨年8月頃に初めて「刃牙」シリーズ(※注1)に触れ、頭がおかしくなってブログを始め、板垣恵介によるコミカライズ『餓狼伝』(※注2)まで買ってしまった金田淳子です。
今日は、「刃牙」の世界と『餓狼伝』の世界の共通点についてグラップラーの皆さんに知らせたい発見があります。
ご存じの通り、「刃牙」シリーズの作者である板垣恵介は、夢枕獏の格闘家小説『餓狼伝』のコミカライズをしています。夢枕獏もまた、「刃牙」シリーズの外伝小説『ゆうえんち』を、現在『週刊少年チャンピオン』で連載しています。
「刃牙」の最大トーナメントの数年前の世界と思われる『ゆうえんち』には、もともと『餓狼伝』のキャラクターである久我重明が登場しています。このことから「刃牙」の世界と『餓狼伝』の世界は、完全に共通とは言えないまでも、つながりがあるのではないか、と考察されているようです。
最近になって「刃牙」シリーズと板垣恵介版『餓狼伝』を読んだ私も、一つの発見をしたので、それについて記したいと思います(夢枕獏の原作小説『餓狼伝』シリーズは未読)。なおこの発見については、ファン全員が知っていて、ネット上にも記述があるだろうと思って検索してみたのですが、私の検索能力では見つけられませんでした。もし板垣・夢枕業界で「もう見た」系の話だったら申し訳ありません。
前置きが長くなりましたが、板垣恵介版『餓狼伝』で描かれた、3つの場面をご覧ください。
グラップラーの皆さんは、安原健次やチャック・ルイスや鞍馬彦一を呼び出しに来た、この「メガネにジャージの男」について、親の顔よりも見覚えがあるのではないでしょうか。
そう、この男です。
皆さんご存知、「ほぅ炭酸抜きコーラですか……たいしたものですね」の男です。
この男は氏名も所属も定かではありませんが、両作品で描かれた場面から、武道館で格闘技の公式戦が行われるとき、選手を控え室まで呼び出しに来る係であると推測することができます。選手の補給食について、したり顔でコメントすることもあります。
さらにこの男の風貌が、『グラップラー刃牙』と『餓狼伝』でほとんど変わっていなことから、二つの世界の時間軸について、ズレがあるとしてもおそらく10年内であると推測することもできます。ただし「刃牙」シリーズには『名探偵コナン』のような時間の歪み(登場人物の年齢がほとんど変わらないまま何十年も連載される問題)があるので、時間軸を考察することにあまり意味はないかもしれません。
ともあれ、久我重明だけではなく、この男の存在によっても、『グラップラー刃牙』の世界と『餓狼伝』の世界に、何らかの共通点、つながりがあることが明らかになったと思います。もしかすると、世界につながりがあるのではなく、この男と久我重明だけが、全く別の二つの世界を行き来できるのかもしれません。私としてはこの解釈のほうが面白いような気がしています。
※注
(1)「刃牙」……板垣恵介による、範馬刃牙(はんま・バキ)を主人公とする長編マンガ、またその関連作品のことを、この記事では「」をつけて「刃牙」と表す。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で1991年から現在まで連載されている。本編は順に『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』『バキ道』。
(2)『餓狼伝』……夢枕獏による長編格闘家小説で、1985年に双葉社から書き下ろし新書として出版された作品を起点とする。この記事では、板垣恵介が1996年から行ったコミカライズのみを対象とする。このコミカライズは、スコラ、講談社、秋田書店と、版元・掲載誌を移転し、それぞれ単行本も出ている。この連載が参照する単行本は、秋田書店・少年チャンピオンコミックス版の全26巻で、出版年は2011~2012年。
(おわりッッ)
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